自己血糖測定で自らを知りましょう(副院長からのメッセージ)

糖尿病患者の皆様へ

糖尿病治療のためのツール、“血糖自己測定器”

 

 糖尿病の治療薬として、最強の治療薬であるインスリンが登場し、最も気を付けなければならなかったことは、低血糖でした。個々に合わせた量のインスリンを、医師の指示に合わせ自己注射を行っていくうえで、インスリンが適切な量なのか、足りなくないか、効きすぎていないか、といった治療上の必要性から、血糖自己測定器が生まれました。

現在、インスリンの(あるいはそれに準じてGLP-1製剤を)自己注射している患者さんは、血糖自己測定が、健康保険の適用となっています(1986年より)。ただし、1か月間に測定できる回数が、1型糖尿病と2型糖尿病では違いがあります。

 血糖自己測定器の発売後、この機器はどんどん進化し、今では手のひらに入ってしまうほど小さく、数秒から十数秒で結果が出るものへと変わりました。物によっては、目の不自由な患者さん向けに、機器が喋るものもあります。持ち運びが便利な、ボールペンの様な形の物もありました。

 インスリンの自己注射を行っていない人でも、保険適応外とはなりますが、これら測定器を手に入れることができます(2005年薬事法改正に伴い、高度管理医療機器(クラスIII)および特定保守管理医療機器に当たりますので、医療機器販売業許可を取得している販売店か医療機関になります)。

 「あなたは、速度メーターを見ないで、法定速度で車を運転することができますか?」「病院での1回の採血結果を参考にして、次の診察日までブレることなく、生活ができますか?」自己血糖測定は、家庭血圧計と同じに、自分の好きな時に、自己の血糖値を知ることができる便利なツールです。測定した血糖値は、間近に行った自分の行動(食事、運動、薬物治療など)の結果を見ることになります。例えば、ケーキや饅頭を食べると、血糖値は何処まで上昇するか自分で確認することができます。次の診察までの間、自己の行動をどの様に変えれば、血糖値を安定させる事ができるか、自分で管理をするための参考とするわけです。

 HbA1cが悪い患者さんは、食前や食後、起床時や寝る前などの色々な時間帯を測定して、どの様な時がコントロールを悪化させるか血糖値を確認し、コントロールが良ければ、測定回数を徐々に間引きすればよいわけです。

 当クリニックでも、自己血糖測定器を扱っておりますので、スタッフにお気軽に声をかけていただければ、血糖自己測定の試用や機器や消耗品の価格など質問にお応えしています。